冤罪類型論1
法律の解釈の局面で発生する型 不能犯型 誤解釈型 中間型 がある
具体的な例でいえば本件有報虚偽記載事件が不能犯型で、白山丸事件が誤解釈型、ゴーン夫人の偽証罪事件が中間型である。厳密に言えば、本件有報虚偽記載事件には公訴時効の問題があるから、不能犯型と誤解釈型の連結型である。因にゴーンの国外脱出を助勢したアメリカ人に対する犯人隠避罪については誤解釈型である。
今回の入国管理法違反(無審査出国罪)については中間型と類似の問題がある。犯罪論では構成要件該当性では違法性は認定されるが、責任性は別論である。ゴーンは単に無審査出国罪を犯したのではなく、違法な長期拘束の次には、不当な裁判の長期化(既に逮捕起訴から1年2か月にもなるのに第一回公判期日の指定すらない状況)を目の当たりにして、出国を決意したと述べているように、違反は正当防衛にあたる可能性がたかい。違法性阻却事由の存在である。かかる場合にも検察の公訴提起は不当違法であるから冤罪未遂被害と言えよう。
冤罪類型論2
事実認定の局面で発生する型 いわゆる事実誤認である
前者が罪でないものを罪とするのに比べ、本類型は犯人でないものを犯人とする類型である。世間の人は冤罪と言えば本類型を想定する。前者は狙い撃ち型であり、本類型は強引当て嵌め型である。両者に共通する違法手続が、強制による自白である。
日本の裁判官の辞書には「事実誤認」という言葉はない。弁護人がどれだけ事実誤認を訴えても認められ無い結果が99.9%の有罪率でもある。但し、論理的には有罪率を議論する場合には否認事件についての有罪率でなければならず、犯罪を自認する事件は有罪となるのが当然だからである。